躁うつから立ち直るためには① 自分の病気を自覚しよう

イッシキ

躁うつ病にかかったらまずしなければならないことって、なんだか分かるかな?


きなこ

自分が病気だってことを自覚する、ということですか?
タイトルに書いてあるじゃないですか。
これみよがしに。


イッシキ

うん、まあそうなんだけどね。


きなこ

自分が病気だって自覚するのってそんなに難しいことなんですか?
まあ私も風邪を引いてもなかなか気づきませんけど。
こないだ40度ほど出てたけど、気づかず仕事に行ってました。


イッシキ

風邪は簡単に自覚できると思うよ!?
とりあえず熱が38度超えたら医者に行こうよ!
咳とか鼻水とかさ!
周りに移してしまうよ!


きなこ

わかりました、気をつけます。


イッシキ

えーと、なんだっけ。
そう、精神病の自覚のことだったね。
これは僕の経験だけどね、精神科医にかかって会社を休職することになっても、どうも自分が精神病にかかっているという自覚が乏しくなるんだよ。


きなこ

確かに精神病って、風邪よりも自覚するのが難しそうなイメージですもんね。


イッシキ

だから精神科に通って処方された薬を飲む必要性なんかも重要だと感じない。
そもそも自分が精神病にかかっているという自覚がなかったら、精神科に行こうという気すら起こらない人もいるかもしれない。


きなこ

必要だから処方されてるんじゃないんですか?お薬って。


イッシキ

そうなんだよ。
なのにどこかで無意識に「薬なんか飲んだところで、この苦しみから解放されるわけがない」と思ってしまうんだよ。


きなこ

薬を疑ってしまうということですか?
せっかくお医者さんが処方してくれてるのに。
人を信じられなくなったら終わりですよ。


イッシキ

なかなか耳が痛くなる言葉だね。
でもその時の気持ちを考えれば、ある程度は大目に見てほしいな。


きなこ

私は大概のことなら大目に見ます。
そのときの気持ちとやらを聞かせてください。


イッシキ

まず、すごく辛い。
震える。冷や汗をかく。動けない。眠れない。死にたい。
こういった負の感情、状況が続くわけだよね。
そこで精神科医にかかって薬をもらうわけだ。
そうすると「これさえ飲めば全てよくなる!」と期待してしまう。
でも当然のことながら、飲んだからと言って劇的に良くなるわけじゃないんだ。


きなこ

劇的によくなったら、確実にやばい薬ですね。


イッシキ

そう。そんな危ない薬を処方する医者はいないね。
でもこうなってくると、ついつい薬に対する信頼が薄れていってしまうんだよ。
「なんだ、結局飲んでも治らないじゃないか」とね。
そして服用するのをついつい忘れるようになってしまう。


きなこ

それはしょうがないかもしれませんね。
それでどうしたんですか?


イッシキ

あるきっかけがあってね。
そのきっかけから薬を飲むように気をつけるようになった。


きなこ

もったいぶった言い方ですねえ。
しかたない。訊いてあげますよ。
そのきっかけってなんですか?


イッシキ

精神病棟に入院したことだよ。


きなこ

入院したことがあるんですか。
楽しかったですか?


イッシキ

入院したことがない人って、入院が楽しそうに見えるの!?
入院生活なんて楽しくないよ。
暇だしね。


きなこ

暇っていいですね。
私、何も考えずにぼーっとするの大好きです。
なんだ。
やっぱり楽しそうじゃないですか、入院。


イッシキ

確かに君はそういうのが好きそうだね。
僕は暇はあまり好きじゃないかな。
それで入院中は、何人かの患者さんたちとお話をしてたよ。
大半は普通に話せる人だったけど、中にはなかなか話が通じない人もいてね。


きなこ

どんなふうに通じなかったんですか?


イッシキ

全然知らない人が、いきなり「あの女は俺のだから手を出したら殺す」って言ってきたんだ。


きなこ

手を出そうとしてたんですか?
駄目ですよ、そんなことしちゃ。


イッシキ

ちがうよ!
言っただろ。
全然知らない人がいきなり言ってきたんだよ。
第一声で。
手なんか出さないよ、と言っても聞いてくれなかった。


きなこ

それはまた変な人ですねえ。
全然知らない人に、条件付きとは言え「殺す」って言われたんですか。
脅迫罪ですね。
警察に通報して慰謝料もらいましょうよ。


イッシキ

いちいちそんなことしてられないよ。
でも思ったんだよ。
「僕、この人と同じ病気にかかってるんだな」って。
それから「ちゃんとこんな状態から抜け出さないと」と思って、薬の飲み忘れをしないようになったんだ。


きなこ

なるほど。
それでそういう人みたいにはなりたくない、と思って薬の服用を意識し始めたと。


イッシキ

そう。ちょっと失礼とも思える話ではあるけどね。
でもこれが僕にとっての「自分の病気を自覚するきっかけ」になったということだね。


きなこ

それで具合はよくなったんですか?
最初は、全然良くならないから薬を飲むことを軽く見ていたって話でしたよね。


イッシキ

その話をしていたときにも言ったけど、劇的に良くなった、という感じはなかったよ。
でも、その後たまに薬を飲み忘れたときに、ひどく具合が悪くなるということに気がついたんだ。
つまり、知らない内に薬は効いてきてたんだよ。
徐々に効いてたから認識はできなかっただけでね。


きなこ

なるほど。


イッシキ

まあ、こんな感じでまずは自分が病気であることを自覚し行動していくことは重要だと思うんだよ。
僕の場合は、それで薬をしっかり飲むという行動を取ったわけだね。


きなこ

行動ですか。
いろんなかたちがありそうですね。


イッシキ

そうだね。
最初に、自分が精神病である自覚がないと精神科に行こうという気すら起こらない人もいると言ったよね。
そういう人たちは、まずは精神科医にかかる、というところから始めてみたらどうかな。
そうやって、まず治療への一歩目を踏み出すために必要なのが病気であることを自覚をする、ということなんだよ。